JRグループの動向や売上が5分で分かる!国鉄分割民営化後の体制と影響

投稿日:2019年6月17日 更新日:

飛行機と並び2大移動手段である鉄道。東京ー大阪区間でみると、新幹線:飛行機=85:15となっており、新幹線利用者の方が圧倒的に多いです。

当記事では、国内移動において重要な役割を担う新幹線を運営するJR社についての分析を行っていきます。1987年の国鉄分割民営化以降の体制について詳しく述べていきます。

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JRグループの全体像

1987年の国鉄分割民営化により、エリア別に6つの会社に分かれJRが民間化されました。東日本、東海、西日本は純粋民間で上場済。他3社は特殊会社です。会社間の資本関係一切なしとなっています。

日本国有鉄道(国鉄)の分割民営化により下記の鉄道事業社に分かれました。

純粋民間会社

東日本旅客鉄道 東北/上越/北陸新幹線、東北/関東地方の在来線

東海旅客鉄道  東海道新幹線、中部地方の在来線

西日本旅客鉄道 山陰・北陸新幹線、関西・中国地方の在来線

鉄道建設・運輸施設整備支援機構が全株式保有する特殊会社

北海道旅客鉄道 北海道内の在来線・北海道新幹線

四国旅客鉄道  四国地方の在来線

九州旅客鉄道  九州新幹線、九州の在来線。 →2016年民間に

その他厳密には、日本貨物鉄道、JRシステム、JR総研などもあります。当記事では1987年以降の6つの鉄道事業社の詳細を述べていきます。

グループを代表して各社を統括する持株会社は存在しないです。また資本体制に関わらず経営は各独立しており、会社相互の株式持合い関係はなし。

民営化されるまでのJRグループについて

JRグループ各社は、日本国有鉄道改革法の規定により、1987年4月1日に発足。2001年6月27日にJR会社法が改正され、本州の旅客3社(JR東日本、JR東海、JR西日本)が純粋民間会社(非特殊会社)化しました。残り3社のうちJR九州のみ民間化、上場の目処あり。

1987年までには、日本国有鉄道法に基づき日本の国有鉄道を運営していた事業体である日本国有鉄道という組織でした。経営形態は政府が100%出資する公共企業体(公社)であり、いわゆる三公社五現業の一つで、通称は国鉄(こくてつ)でした。

職員数は1980年代までおおむね40万人台で推移していましたが、合理化により大幅に削減され、民営化直前の1986年(昭和61年)には27万7000人にまで減少。このうち20万1000人がJRグループの各新会社に移行しています。

主な沿革
1949年 日本国有鉄道発足
1958年 初の特急電車「こだま号」が登場
1964年 単年度収支で8300億円の赤字となった。
1966年  繰り越し利益消え完全な赤字転落。以降一度も黒字の計上なし。(ただし単年度収支では旅客部門のみ1984年度以降黒字)
1969年 日本国有鉄道財政再建特別措置法を成立させ、10年後の黒字転換を掲げる財政再建10カ年計画が開始(赤字83線の整理計画は4年で挫折)
1984年 日本鉄道公団による地方路線建設の凍結、輸送密度に応じた幹線に基づく複数運賃制度の導入
1983年 国鉄再建監理委員会が発足、民営化に向けた作業開始
1987年 JRグループが発足

JR各社間の取り決めでは自社区間の乗車券類を他社の窓口で売った場合に発売額の5%分の手数料を支払うこと、および、「東京都区内」「横浜市内」「京都市内」「大阪市内」発着の乗車券類について、在来線を利用せず新幹線駅から直接の乗車・下車であっても、JR東日本またはJR西日本に一定額の調整金を支払うことになっており、JR東海は年間約300億円の手数料等をJR他社に支払っているそうです。会社間の手数料のやりりなどもしっかりしており、本当にそれぞれが独立した会社であるということが象徴されています。

JRグループの各社売上一覧

JRグループの6つの会社のそれぞれの売上を一覧化して紹介します。

東日本旅客鉄道株式会社:売上 2兆8672億円  営業利益 4878億円

東海旅客鉄道株式会社:売上 1兆7384億円  営業利益 5786億円

西日本旅客鉄道株式会社:売上 1兆4513億円  営業利益 1815億円

北海道旅客鉄道株式会社:売上 826億円 営業利益 390億円

四国旅客鉄道株式会社:売上 276億円  営業利益 -112億円

九州旅客鉄道株式会社:売上 2000億円 営業利益 19億円 

各社の特徴や売上内の構成要素詳細などを紹介していきます。

JRグループ①:東日本旅客鉄道株式会社

この段落の要約

6社の中でもっとも売上高が高い。上場済。
関東地方の在来線収入が主、新幹線は3つを管轄。東北エリアもJR東日本の管轄。「びゅうトラベルサービス」として旅行商品販売も注力

主な沿革
1987年 日本国有鉄道が分割民営化され、東日本旅客鉄道株式会社発足。
1988年 東北自動車事業部・関東自動車事業部を分離、ジェイアールバス東北、ジェイアールバス関東営業開始。
1991年 東北新幹線 東京駅 - 上野駅間を開業。
2001年 改正JR会社法が公布。本州3社が本法の適用から除外されJR東日本の純粋民間会社(非特殊会社)化が実現。
2007年 JR東日本外国語版サイトリニューアル。海外向けインターネット指定席予約サービスサイト「JR-EAST Shinkansen-Reservation」開設。


自己資本比率 31.4% (前年度30.1%)
従業員数 58550人

管轄エリア
東北新幹線(東京駅-新青森駅)
上越新幹線(大宮駅-新潟駅)
北陸新幹線(高崎駅-上越妙高駅)※上越妙高駅-金沢間はJR西日本
東北地方、関東地方の在来線

2016年3月期業績

輸送業
売上高 2兆79億円(5.3%増) 営業利益 3485億円(18.3%増)
1兆1153億円が関東圏の通勤・通学路線の運輸収入、4909億円が新幹線の運輸収入。

駅スペース活用事業
売上高4160億円(1.0%増) 営業利益350億円(1.6%増)

ショッピング・オフィス事業
売上2675億円(0.4%増)営業利益716億円(1.0%減)

その他
売上高 6339億円(3.2%増) 営業利益 350億円(27.4%増)
ホテル・広告代理・クレジットカード事業等

▼鉄道事業の営業エリア
主として関東および東北地方の1都 16 県にわたり、駅数は 1,665 駅、営業キロは在来線が 6,263.1km、新幹線が 1,194.2km、総合計は 7,457.3km
えきねっとサイト
チケット、パッケージツアー、JR+宿泊(ダイナミックレールパック)あり

びゅうトラベルサービスはJR東日本の子会社
大人の休日倶楽部会員サービス、国内旅行企画販売、訪日旅行、海外旅行。

輸送面では、2016年3月のダイヤ改正において、北海道新幹線開業に合わせて東北新幹線との相互直通運転を開始。これにより、東京~新函館北斗間の到達時間は最速4時間2分、仙台~新函館北斗間は最速2時間 30 分となりました。また、北陸新幹線および上野東京ラインの開業後の利用状況を踏まえ、接続の見直しや混雑時間帯の輸送力増強など、輸送体系の改善を図った。

びゅうトラベルサービスについて

1992年に株式会社びゅうワールドという社名で、JR東日本と日本航空の合弁企業だった。JR東日本は東京都知事登録の国内旅行業(現・第2種旅行業)しか認められず、自社で海外パッケージツアーを主催することができないため設立された。その後「びゅうワールド」ブランドを中心とし、JR東日本の海外旅行ホールセラーとして運営されてきました。
2003年 JR東日本訪日旅行手配センター開設(訪日旅行の取り扱い開始)
2007年に、パッケージツアーブランド「びゅうワールド」の企画実施をジャルパックに移管し、商号を「びゅうトラベルサービス」へ変更。その後、JR東日本の「大人の休日倶楽部」会員サービス部門の運営、会員向けの国内ツアーや「大人の休日倶楽部趣味の会」の運営、JR東日本の訪日旅行(インバウンド)事業など、新規市場に向けた幅広い展開が行われています。

国内のパッケージツアー「びゅう」商品はJR東日本の企画実施であるが、首都圏の電話予約、インターネット予約(えきねっと)による通信販売部門(びゅう予約センター)の運営は同社が行っている。また、同社が企画実施する大人の休日倶楽部会員向け団体旅行などのツアーの旅館の仕入れ等はJR東日本と共同で行われており、JR東日本が発表するツアーのプレスリリース等は、同社との共同で行われることが多く、JR東日本の旅行業部門の一部として密接な関係があります。

JRグループ②:東海旅客鉄道株式会社

この段落の要約

東海道新幹線を管轄し営業利益が6社の中でもっとも高い。
トーキョーブックマークなど運営して新幹線パッケージ商品の販売に注力。

経営理念
1.健全な経営による世の中への貢献
2.近代的で愛され親しまれ信頼されるサービスの提供
3.明るくさわやかで活力のある社風の樹立

主な沿革
1987年 国鉄が分割民営化され、東海旅客鉄道株式会社発足。国内旅行業開始。
1988年 バス事業を分離し、ジェイアール東海バスに移管。
1992年 新幹線「のぞみ」が東京駅 - 新大阪駅間で運転開始。
1997年 東京証券取引所・大阪証券取引所(2013年に東京証券取引所に統合)・名古屋証券取引所・京都証券取引所 (2001年に大阪証券取引所に統合)に株式上場。
2001年 インターネットによる新幹線予約サービス「エクスプレス予約」開始。
2006年 鉄道建設・運輸施設整備支援機構保有の株式を自己株式として買い受け、完全民営化が完了。
自己資本比率 38% 従業員数 18231名

2016年3月期

運輸業
売上高 1兆3581億円(+524) 営業利益 5568億円(+824)
流通業
売上高 2396億円(+58) 営業利益 87億円(-1)
不動産業
売上高 660億円(-4) 営業利益 156億円(-9)
その他
売上高 2430億円(+40) 営業利益 -17億円(-100)

鉄道部門の収益のうち約85%を東海道新幹線が占めており、在来線の運輸収入は東海道新幹線の1割にも満たない。

管轄エリア
東海道新幹線(東京駅 – 山陽新幹線)
中部地方(神奈川・静岡・山梨・長野・愛知・岐阜・富山・滋賀・三重・和歌山の10県12線区にまたがる東海地方)の在来線
駅数 405 営業キロ 1970キロ

経営事情
JR西日本と同様に鉄道事業で収益を支えなければならない経営事情と新幹線鉄道保有機構が収益の足かせになっていたことに加えて、本社があり人口の多い名古屋近郊地域(愛知県・岐阜県・三重県)ではマイカー普及率が全国でも上位クラスにあるのに加えて、並行する私鉄である名古屋鉄道や近畿日本鉄道との競合や、優等列車はその多くがJR他社に直通しなければならないことから、在来線に関しては採算のとりにくい環境です。また、新幹線に関しても、首都圏や関西圏など在来線はJR他社エリアに属する地域もあるため、企画販売や品川駅などの新駅建設などの際には自由に身動きが取れないことも多いです。

東海道新幹線 43万人 運行本数 350本 (1日あたり)
日本の3大都市圏である東京〜名古屋〜大阪を結ぶ大動脈として1964年の開業以来、約57億人の利用者。

営業活動に注力
エクスプレス予約、プラスEX
50+(フィフティ・プラス)
「そうだ、京都へ、行こう。」キャンペーンやトーキョーブックマークなど。

トーキョーブックマーク
JR東海が中心となって、大手旅行代理店が協賛している関西・東海から新幹線を使っての東京方面へのおでかけ情報の提供、ツアーを提案する観光情報サイト。
人気の観光スポットやイベントを網羅し、旅行代理店各社のプランをまとめてチェックすることができるので、効率よく旅のプランが立てられる。

JRグループ③:西日本旅客鉄道株式会社

この段落の要約

関西・中国地方エリアの在来線、山陽・北陸新幹線を管轄。上場済。

関西は私鉄大国であり在来線経営難しい。北陸との相互送客には注力。

主な沿革

1987年 国鉄が分割民営化され、西日本旅客鉄道発足。国内旅行業が開始。
1988年 バス部門を分社化し、西日本ジェイアールバス、中国ジェイアールバスが発足。
1996年 東京証券取引所・大阪証券取引所・名古屋証券取引所などに株式上場。
1997年 500系新幹線電車が「のぞみ」として山陽新幹線で営業運転を開始。
2001年 改正JR会社法が公布。本州3社が本法の適用から除外され、JR西本の純粋民間会社(非特殊会社)化が実現。旅行業部門 (Tis) が日本旅行に譲渡される。
2005年 福知山線(JR宝塚線)尼崎駅 - 塚口駅間で、運転士と乗客を合わせて、107名が死亡し、562人が重軽傷を負う列車脱線事故
2011年 山陽新幹線が博多駅まで延伸開業する九州新幹線と相 互直通運転開始
2015年 寝台特急「トワイライトエクスプレス」を廃止。


自己資本比率 33%

管轄範囲

総営業キロ数:5,007.1 km
新幹線:812.6 km(2線区)
在来線:4,194.5 km
総駅数:1197駅
総営業キロ数は5,007.1 kmと東日本旅客鉄道(JR東日本)に次いで長い。
関西地方、中国地方エリア全般
山陽新幹線 新大阪駅 - 博多駅
北陸新幹線 上越妙高駅 - 金沢駅

2016年3月期業績

運輸業
売上高 9287億円(6.9%増) 営業利益 1251億円(24.3%増)
流通業
売上高 2320億円(5.4%増) 営業利益 53億円(233.3%増)
不動産業
売上高 1088億円(24.9%増) 営業利益 327億円(29.9%増)
その他
売上高 1815億円(4.1%増) 営業利益 224億円(43.5%増)

経営事情
東海道新幹線を保有する東海旅客鉄道(JR東海)や莫大かつ安定した収入源である山手線をはじめとする首都圏の通勤路線を抱える東日本旅客鉄道(JR東日本)と比べて、黒字経営ではあるが経営基盤が弱いとされる。これはJR東日本のように国鉄時代からの優良資産や国鉄関連株を所有しておらず、新幹線鉄道保有機構の解散によって救済策を失ったことで、収益のほとんどを鉄道事業で支えなければならないという苦しい経営事情がある。中国・北陸地方を中心にローカル線を多数抱えているうえ、戦前の鉄道省、戦後の日本国有鉄道時代から人口の多い京阪神周辺地区では「私鉄王国」といわれるほどの近畿日本鉄道・阪急電鉄・阪神電気鉄道・山陽電気鉄道・南海電気鉄道・京阪電気鉄道などの並行する私鉄と、山陽新幹線は航空路線と、またほぼ全域でマイカーや高速バスなどの道路交通との激しい競争となっています。

北陸との連携
関西・北陸・信越エリアの相互流動拡大については、「関西・北陸交流会」を開催し「観光」のみならず「産業」「文化」「学び」等といったキーワードを軸に交流拡大に関する議論を行ったほか、北陸と信越を広域に周遊できる旅行商品の発売、本年3月のダイヤ改正による特急「サンダーバード」の増発を行う等、利用促進に努めています。この結果、2015年4月から2016年3月の1年間における北陸新幹線の利用は、前年との比較で268%となり、利用者数は本年4月に1,000万人に達しました。
2005年の事故があったこともあり安全性に重点をおいています。

新幹線
山陽新幹線では、「のぞみ」、「ひかり」、「こだま」が新大阪駅・新神戸駅・岡山駅・広島駅・小倉駅・博多駅の各都市間の輸送を担っており、「のぞみ」を中心に東海道新幹線への直通運転も行っています。
北陸新幹線では、速達タイプの「かがやき」、準速達タイプの「はくたか」、金沢駅 - 富山駅間の各駅停車である「つるぎ」が運行されています。また、「はくたか」は金沢駅 - 長野駅間の列車については各駅停車となります。
なお、乗務員(運転士、車掌)の交代は長野駅で行っており(金沢駅 - 長野駅間はJR西日本金沢新幹線列車区が担当。長野駅 - 東京駅間はJR東日本長野新幹線運輸区が担当し、一部の列車は丸の内車掌区が担当)、管轄境界駅である上越妙高駅では乗務員の交代は行っていないです。

北陸新幹線と北陸エリアの活性化
130億円 (2017年度)
関西~北陸~信越における相互流動の拡大
観光・文化・経済など幅広い分野での関西~北陸の交流拡大
「マイ・フェイバリット北陸」などインターネットによる鮮度の高い北陸観光情報の発信、「関西・北陸交流会」の継続 開催、「北陸カレッジ」による大学連携
・関西から新たな市場となる新潟・長野方面への送客の強化
・関西・中京エリア~北陸における北陸新幹線の乗換え利便向上のPR(幹在乗継割引価格のインターネット商品等)
・車両のリフレッシュ等によるサンダーバードのサービス向上

○新生「LUCUA osaka」
○訪日観光客需要の獲得
えきねっとで北陸旅行の予約
パッケージツアーとダイナミックレールパック

JRグループ④:北海道旅客鉄道株式会社

この段落の要約

北海道新幹線は財務的負担であり、在来線も競争激しい&過疎で難しい。

旅行商品販売は大体、JR東日本と提携している。特殊会社。

主な沿革

1987年 国鉄が分割民営化され、北海道旅客鉄道発足。
1989年 寝台特急「トワイライトエクスプレス」を運転開始。
2000年 バス事業をジェイ・アール北海道バスに譲渡。
2001年 改正JR会社法が施行。本州3社が本法の適用から除外されたが指針によりJR北海道を含む三島会社とJR貨物との協力関係維持を規定
2016年   北海道新幹線(新青森駅-新函館北斗駅(渡島大野駅から改称)間)開業。


自己資本比率 71%

管轄範囲
総営業キロ数:2,568km
新幹線:148.8km(1路線)
幹線:1,327.9km(5路線)
地方交通線:1,092.0km(8路線)
北海道新幹線
北海道内の在来線

経営状況
他のJRグループ各社と比較しても過疎地域を走る路線が大半を占め、道路網延伸や自家用車の普及、航空や高速バスとの競争も激しく、加えて全道が豪雪地帯・寒冷地のため除雪や車両・施設の維持管理費、光熱費に膨大な経費を要し、経営基盤は非常に弱い。
事業は境界を接する東日本旅客鉄道(JR東日本)と提携することが多く、2社共同企画の旅行商品を発売するなど、経営上の重要なパートナーとなっていますが、既に2002年に完全民営化を達成し堅固な経営基盤を有するJR東日本と比較すると、事業環境には大きな開きがあります。

北海道新幹線とホテルを組み合わせた東北・関東方面への旅行商品を設定するほか、札幌や函館から似帰り旅行商品の充実、北海道新幹線を利用した修学旅行の誘致に取り組んでいます。

北海道新幹線の財務事情
北海道新幹線の開通がJR北海道の経営を直ちに改善するわけではなく、当面(少なくとも2031年春の札幌駅までの全線開業予定日まで)はむしろ負担となる。想定乗車率が26%であり、年額50億円の赤字が続く見通しである。また1988年開通の青函トンネルの維持に年間21億円を使っています。

JRグループ⑤:四国旅客鉄道株式会社

この段落の要約

高速バスにも注力。唯一新幹線の保有無し。特殊会社。

経営理念

JR四国は、四国における基幹的公共輸送機関としての役割を担っていることを認識し、安全・正確・快適な輸送を提供するとともに心のこもったサービスに努め、お客様に喜んで利用していただける企業を目指します。また、会社の持つ人的・物的能力を最大限に発揮し、四国に根ざした会社として自立・発展を期するとともに、広く四国の経済・文化の向上に寄与することに努めます。

主な沿革

1987年 国鉄が分割民営化され、四国旅客鉄道発足国内旅行業開始。
1988年 本四備讃線(瀬戸大橋線)開業、快速「マリンライナー」運転開始
2001年 改正JR会社法が施行。本州3社が本法 の適用から除外されたものの、指針によりJR四国を含む三島会社とJR貨物との協力関係の維持を規定。
2004年 バス部門をジェイアール四国バスに分社化


自己資本比率 57%

管轄範囲
四国内。新幹線の保有はなし。バスは本州まで出ています。
四国内の観光列車なども運営
9路線、総営業キロ855.2 kmの鉄道路線。JRグループで最短。
北海道新幹線の開業後はJR旅客鉄道会社6社の中で唯一新幹線を所有せず、狭軌(軌間1067mm)の在来線のみを受け持つ事業者となる。(JR会社法)に拠る特殊会社である。JR旅客6社の中では最も規模が小さい。

高速バス事業
高速バスはJR四国グループにとっては鉄道に次ぐ主力事業として位置づけられており、順調に売上を伸ばしてきましたが、こちらも2009年からは高速道路料金のETC休日特別割引の影響を受けています。2010年4月26日に発表した2009年度の営業概況では、運輸収入は前年比10%減となり分社化以来初の減収。

鉄道事業以外にも通信販売事業を行っており、四国の特産物等を販売している。事業開始当初は電話、FAXでの受注のみであったが、現在ではネット販売も行っています。

JRグループ⑥:九州旅客鉄道株式会社

この段落の要約

2016年に特殊会社ではない民間会社となった、上場準備中。

主な沿革
1987年 国鉄が分割民営化され、九州旅客鉄道発足
1990年 一部旅行業取扱開始
1992年 特急「ハウステンボス」運転開始。
2004年 九州新幹線の一部(新八代駅 - 鹿児島中央駅間)開業営業損益が黒字に転換
JR四国に続いて管内から定期急行列車が消滅。
2008年 旅行代理店名を今までのジョイロードから「JR九州旅行」に変更。
2015年 旅行部門でJTBとアライアンス関係を構築
2016年 法令上は特殊会社ではない民間会社となる

管轄範囲
九州内と下関の一部まで。新幹線は福岡駅〜鹿児島中央駅。
線区/22線区
新幹線 288.9km  在来線 1984.1km
営業キロ/2,273.0km
駅/566駅


自己資本比率73%
グループ会社は 34社

(JR会社法)に依る特殊会社であったが、2015年6月10日法律第36号により、2016年4月1日を以て、JR会社法の適用対象から除外され、法令上は特殊会社ではない民間会社となった。しかしながら、株式は上場されておらず、北海道旅客鉄道(JR北海道)、四国旅客鉄道(JR四国)、日本貨物鉄道(JR貨物)と同様、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構国鉄清算事業本部(以下、鉄道・運輸機構。発足当初は日本国有鉄道清算事業団)が全株式を保有しています。

経営事情
2011年3月12日に全線開業した九州新幹線を軸として、事業の基盤となる地域の活性化を目的とした観光列車を相次いで投入、多角化を進めている関連事業と鉄道事業との相乗効果をもって利益を拡大する事業戦略を推進しています。

九州新幹線について
九州新幹線は、九州内においては博多駅・熊本駅・鹿児島中央駅の各都市間の輸送を主としています。このほかにも主な駅で佐賀・長崎・大分・宮崎の各都市を結ぶ在来線特急列車や高速バスと連絡している。加えて、山陽新幹線の新大阪駅と鹿児島中央駅との間で直通運転も行っています。
博多駅を中心として、小倉駅・佐賀駅・長崎駅・佐世保駅・大分駅などの間で運行している特急列車もあり。

JRグループのまとめ

普段なにかとお世話になることが多いJR社ですが、社内体制や経営面で6社分まとめた記事はあまりなかったので、以上まとめてみました。

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