リスティング広告(検索連動型広告)は検索キーワードに対して出稿される広告であり、自社の顕在層に直にアプローチすることができる有能な広告です。
完全クリック単価制のリスティング広告は、どのようなロジックで表示順位が決められ、クリック単価の価格はどのように決められるのか体系的に紹介していきます。
これから完全初心者向けに、リスティングのメリットから意識すべき細かいことまで徹底解説しました!
リスティング広告とは?
リスティングとは、Googleなどの検索エンジン上の検索表示結果に掲載されている広告のことを差します。自然検索結果10個の上に4つ、下に3つあるのがリスティング広告枠です。
ユーザーが検索した「検索キーワード」に連動して表示される「広告」が変わるため、検索連動型広告と呼ばれます。PPC広告(Pay Per Click)とも言われるクリック単価制の広告です。
オーガニック検索結果でより上位表示させるSEO対策についてはこちらの記事で詳細解説しています。
リスティング広告の仕組み
リスティング広告が掲載される枠は決まっていますが、リスティング広告の出稿は枠を買うわけではありません。検索キーワードに対して入札単価を設定して出稿するのです。各検索時に毎回自動オークションが行われており、そこで表示順位が決定します。オークションのアルゴリズムが費用決定の仕組みともなるので、次章以降で詳細を解説します。
1.広告を出稿したい検索キーワードを登録&それぞれに入札価格を設定
ー検索語句の例.[リスティング 広告]
2.上記で登録したキーワード[リスティング 広告]でユーザーが検索する
3.[リスティング 広告]KWに対して出稿中の企業間でオークションンが行われる
4.掲載表示順位が決定して各広告が検索結果画面に表示される
5.ユーザーが広告をクリックして自社サイトへ
6.その広告経由のユーザーが自社サイトでCVしたかの確認もできる。
このような流れになります。2.〜4.はほぼ同時に一瞬の間に行われています。掲載表示順位は毎回検索の度に変わります。それぞれの詳細は下記で解説しています。
リスティング広告のメリット・効果
リスティング広告の主だったメリットや得られる効果を紹介します。
・リスティング広告はニーズが顕在化された顧客にアプローチ可
他の広告でもあらゆるターゲティングが存在しますが、検索キーワードほどユーザーのニーズが顕在化されているものはないです。自社の商品や情報をまさに求めている層に対してドンピシャで広告を当てられます。
・SEOと違い明確にコントロールしやすい
どのKWに対して、どのようなLP(ランディングページ)を表示させるかも指定できるし、デバイスごとやユーザーの検索場所ごとでも表示を変更できます。誰に何を訴求するかを明確にコントロールしやすいので、CVRが高くなりやすいです。
・完全クリック課金なので低予算から始められる
クリックされないとお金が出稿されないので、出稿してCVもつかないし費用がだけ出てしまうという自体は起きにくいです。
・すぐに配信開始・停止でき、修正も即時反映
SEOは順位の反映に数週間~数ヶ月かかりますが、リスティングは即日で配信が始められます。タイムリーな動きにも対応できます。また停止や修正もすぐに反映されるので、PDCAも回しやすいです。
・リスティングはマーケ全般をリードするテストができる
基本的にリスティングにて、各検索キーワードで調べるユーザーのニーズを検証したり、新しいページのテストを行ったりすることが多いです。リスティングで効果が実証できればSEOでも本格的に狙いにいくなど。
主な掲載媒体:GoogleとYahoo!
リスティングの主要媒体はGoogleとYahoo!になります。GoogleもYahoo!も検索連動型広告のアルゴリズム自体はほぼ同じです。
・Google Adwords - Google検索ネットワーク
・Yahoo!プロモーション広告 -スポンサードサーチ
広告名も違い、管理画面も異なります。それぞれGoogleとYahooのアカウントIDを用いてログインします。使用できる詳細なターゲティング機能などは異なります。
同様にGoogleとYahooが2大巨頭となっているアドネットワーク広告、いわゆるディスプレイ広告の解説はこちらで
リスティング広告の費用の仕組み
リスティング広告はクリック課金制(PPC)の広告です。自社の広告が1回クリックされたら、毎回オークション時に決められるクリック単価分の料金が発生します。実際に検索エンジン上で自社の広告をクリックすると、自社の広告代金になってしまいます。
広告料金の設定は入札形式となっており、各キーワードに対して上限クリック単価を設定しておきます。広告掲載順位と実質クリック単価は、設定した上限クリック単価によって変動します。
広告掲載順位は広告ランクという指標で決定します。
リスティング広告の費用の仕組み:広告ランクとは
クリック率を大きく分ける広告掲載順位を決める指標が広告ランクです。広告ランクが高いサイトの広告がより上位に表示されます。
広告ランクの決まり方広告ランク = 上限クリック単価 * 品質スコア
広告ランクは設定した「入札価格」と「広告品質」で決まるのです。リスティングはSEOと違い、お金を高く支払えばより上位表示を取得できるのですが、「お金」だけが指標の全てではないのです。品質ランクが高ければ、より高いお金を支払う会社の広告よりも上位に広告を表示できます。
リスティング広告の費用の仕組み:品質ランクとは
品質スコアとは、広告の内容やリンク先ページ(LP)がキーワードにマッチしているかを確認した指標です。Googleの方針としてはSEO同様にリスティングでも、「より検索ユーザーのニーズにあった情報を提供したい」という軸はあります。
有料広告なのでもちろん設定されている上限クリック単価も加味されるが、クオリティも大きく関係しています。リンク先のページや広告文が、各キーワードを検索したユーザーのニーズを満たすのかという品質をGoogleは判断しています。
品質スコアはその広告の質を10段階で評価したもので、決定要因は次のように言われています。特に最初の3つで占められています。
品質ランクの決定要因・推定クリック率
・キーワードと広告文の関連性
・ランディングページの品質/利便性
・アカウント全体の履歴/パワー
・広告グループの表示URLの過去クリック率
・地域でのアカウント掲載結果
・その他の関連性に関する要因
品質スコアはキーワード単位で付与され、管理画面上で確認することができます。アカウント/キャンペーン/広告グループに対しては品質スコアは存在しません。
※品質スコアは、検索クエリとキーワードが完全に一致した場合を前提としている
リスティング広告の費用の仕組み:クリック単価の決まり方
広告掲載順位の決定方法は、上限クリック単価と品質ランクの掛け合わせで決まると把握しましたが、実際に支払うクリック単価は設定した上限クリック単価とは異なるのです。基本的には、実質クリック単価は上限クリック単価よりも低くなります。
実質クリック単価の決まり方(「自社広告の1つ下の会社の広告ランク」÷「自社広告の品質スコア」)+1円
実際に支払うクリック単価は競合の状態によって決まるのです。また重要なことは品質スコアが高いほど実質クリック単価が安くなるということです。
リスティング広告の仕組み:アカウント構成
リスティング広告の表示ロジックの大枠を説明しました。今度は管理画面内でどのような設定が行われているのか、やや裏側の紹介をます。
・アカウント
1つのサイトに対して、1アカウントからの出稿しかできません。1番大きな枠組みとなります。ログイン情報などのユーザー管理権限・支払い情報などを管理します。
・キャンペーン
複数の広告グループをまとめるのがキャンペーンです。1日の予算・配信地域や言語・配信ネットワーク・広告掲載期間/時間・広告表示オプションの設定ができます。
・広告グループ
キーワード・広告・リンク先URL・上限単価は全て広告グループ単位で決定します。同広告グループのキーワードに対しては、同広告設定になります。
・広告
各広告グループごとに広告を設定します。1つの広告グループに2~4個ほどの広告文を入れて自動A/Bテストで最適な広告をみていきましょう。広告見出し・広告説明文・パス・リンク先を設定します。広告表示オプションも広告グループ単位で設定できます。
・キーワード
各広告グループ内にキーワードを設定します。キーワードは「マッチタイプ」も選択する必要があります。マッチタイプについて細かく説明します。
リスティング広告の仕組み:キーワードのマッチタイプの種類
登録キーワードは4種類からマッチタイプを指定する必要があります。
また例として、「リスティング 広告」というキーワードを使用します。リスティング広告について検索したい人はKW「リスティング 広告」でも検索しますが、ドンピシャにこのKWで検索する人だけではありません。「リスティング広告 代理店」・「リスティング広告 運用」など様々な検索キーワードが存在します。Google発表では、「今まで検索されたことのない検索語句での検索が30%近くもある」そうで、人力だけで全てのキーワードを考え抜くのは難しいです。そこでマッチタイプを利用することで、新しいキーワードも網羅しにいけます。
ではキーワードのマッチタイプの種類を紹介します。各マッチタイプ別にキーワードの登録方法が決まっており、各種類ごとに特有の記号が使われます。
・完全一致
登録キーワードと同じキーワードが検索された際に広告表示します。1番狭めた出稿で、1番手堅いパターンです。※振り仮名違いなどの類似パターンには表示。 (設定で誤表記は表示させないも可)
登録記号: [リスティング 広告]
・部分一致
入札キーワードと関連性のある語句で検索された際にも広告表示します。1番広くキーワードを拾うマッチタイプです。
登録記号: リスティング 広告 (←記号なし)
・絞り込み部分一致
完全一致と部分一致の融合のようなものです。”+”をつけていない語句は部分一致、”+”の方は完全一致のみ表示となります。「リスティング」は固定だが、広告の方は部分一致のように多くの関連語句を拾います。
登録記号:+リスティング 広告
・フレーズ一致
前後に他の語句を追加された検索も表示されます。例えば「リスティング 広告 本」とかも拾ってきます。
登録記号: ”リスティング 広告”
「リスティング 広告:完全一致」・「リスティング 広告:部分一致」両方を同アカウントに設定することも可能です。
リスティング広告の重要指標・基本用語
レポートや管理画面で表示させる指標は自分で選択できます。僕がいつも表示させている指標は下記となります。Webマーケティング全般において重要な概念ばかりなので、それぞれが表す意味はマストで把握しておきましょう。
■表示回数 (IMP)
インプレッション。広告が表示された回数を指します。
■クリック数(CL)
広告がクリックされた回数のことです。
■クリック率(CTR)
CTR(Click Through Rate) = CL / IMP となります。クリック率は重要な指標です。表示回数に対してのクリックされた割合です。
■平均クリック単価(CPC)
CPC(Cost per Click)とは、1クリックあたりの費用を表します。実質クリック単価の平均です。設定した上限クリック単価よりは低くなります。
■費用(Cost)
Cost = CL * CPC となります。平均クリック単価をクリック数で掛けたものがコストになります。
■コンバージョン数(CV)
コンバージョンの定義は各サイトによって変わりますが、まずはコンバージョン設定をしてから広告出稿を開始しましょう。
■コンバージョン率(CVR)
CVR(Conversion Rate)= CV数 / CL となります。クリック数に対して費用がかかるので、CVRが上がれば費用が一定のままCV数が上がります。
■コンバージョン単価
CPA(Cost Per Acquisition)とは、1つのコンバージョンあたりの獲得単価のことです。
CPA= Cost / CV数
■ROAS
CPAに並ぶ重要指標です。CPAはCV数で効果を測っていますが、売上で広告の費用対効果を測る指標です。ROAS(Return On Ad Spend)=CV額 / Cost です。
■平均掲載順位
広告が掲載されている順位の平均を見れます。
■インプレッションシェア(IMPシェア)
IMPシェア= 表示された回数 / 表示される機会 となります。表示されないことがあった場合は、予算・入札単価・広告ランクなどどこかが競合よりも大きく低かった時となります。
リスティング広告の運用方法
実際のリスティング運用方法の進め方について解説します。管理画面の使い方や詳細な登録方法はこちらの記事で解説しています。GoogleAdwordsパターンでの解説です。ヤフーも管理画面は違えど必要項目は同じです。
リスティング広告運用①:設定するキーワード群を決定
まずはカスタマージャーニーで自社商品を求めているユーザーが検索するキーワード出しをします。Googleキーワードプランナーを用いると、次の2つの情報を得れます。目的と予算に応じて、登録群キーワードはざっくりと決めておきましょう。
・GoogleAdwords画面で起点語句の関連ワードを見れる
・キーワードプランナーで各語句の推奨クリック単価を見れる
リスティング広告運用②:Adwordsアカウントを開設する
Adwordsアカウントの開設方法は上記記事にキャプチャ付で詳細載せてますので、広告アカウントがまだない人はご参照どうぞ。アカウント開設後に必要なCV設定なども紹介しています。
リスティング広告運用③:キャンペーン作成
アカウント開設後、管理画面上で[キャンペーン作成]をクリックして、まずはキャンペーンから作成していきます。その中に広告グループ・キーワード/広告文などの登録になります。
・キャンペーン名を入力
・タイプ...ここでは検索ネットワークのみを選択
・ネットワーク...検索パートナーを含める場合はチェック(他のポータルサイトに広告が出ます)
・ デバイス...スマートフォンやPCのことです。
・地域...地域を国、都道府県、市町村で選んでください。
・言語...日本語なら日本語を選択してください。
・入札戦略...自分でするなら個別単価設定、googleにお任せするなら自動設定でもOKです。
・予算...1日当たりの予算を決定してください。キャンペーンごとに日当たり予算を設定します。
・広告表示オプション...必要に応じてチェックしてください。店舗や問い合わせなら電話番号は必須です。
リスティング広告運用④:広告グループ作成
作成したキャンペーンの中に広告グループを作成していきます。
・広告グループの名前をつける
・上限クリック単価を入力
・リンク先URL...ランディングページ(広告をクリックした時のリンク先)のURLを入力
・最終ページURL...広告をクリックすると表示されるページの URL
・広告見出し1...広告の上部に表示される文章。全角15文字以内。
・広告見出し2...1の次に表示される文章。全角15文字以内。
・パス...URLとして表示される言葉です。ランディングページの内容が分かるようなアルファベットかキーワードなどを入れてください。
・広告説明文...広告の下部に表示されます。全角40文字以内で記入してください。
・「+」...これをクリックすると広告を追加で設定します。1つの広告グループには2つ以上の広告を登録することが一般的です。
リスティング広告運用⑤:キーワード登録
各広告文の中にキーワードを登録し、マッチタイプを選択します。基本的に広告グループ単位で上限クリック単価を設定しますが、キーワード単位にでも単価調整ができます。
広告グループとキーワードで設定された上限クリック単価が違えば、そのキーワードにはキーワード側に設定した単価が適用されます。
▼デバイス別設定
2016年7月のAdwordsアップグレードにより、スマホ・タブレットそれぞれの調整率を個別に設定できるようになりました。パソコン、タブレット、スマホ別に広告を出し分けることが可能なのです。設定方法は次の通りです。
「設定」→「デバイス」→「入札単価調整率」で各デバイスの単価調整率を-100%~+900%の値で設定できます。スマホだけに表示したいならスマホの単価調整率を[+900%]に、PCとタブレットだけに表示したいならスマホの単価調整率を[-100%]選択します。PC版に設定した入札単価が基準となりそれに対して、スマホの入札比率が選択可能です。
リスティング運用で意識すべきこと
リスティングの運用で意識すべきことを個条書きで紹介します。
・広告文には検索キーワードを含んだ方が良い
ー広告文内の[検索キーワード]と一致部分は太字で表示されます。
・広告文 / リンク先URL のA/Bテストは継続的に行う。
ースマホ版のみURLを変更することも可能
・キャンペーンを細分化しすぎず、Google推奨の自動学習をある程度頼る。
・除外ワードの登録
ー部分一致での運用は「除外ワード」ありきです。除外ワードに設定した語句に対しては広告が表示されなくなります。CVがなくコストだけが掛かっているキーワードは除外していきましょう。
・指名ワード
ー自社の会社名やサービス名といった固有名詞に対しても広告出稿をします。たいていの場合SEOでも自社サイトが最上位にきているので無意味に思いますが、1.他者に取られない、2.アカウント全体のCTRが良くなり、他キャンペーンにも効果あり。競合ほぼいないのでクリック単価はかなり安くなります。
・ターゲット地域を絞る
ー世界中の国単位・都道府県・市町村まで選択可能で、その地域で検索しているユーザーのみに広告配信することができます。
リスティングの効果の上げ方
リスティングの成績改善に向けて動く際、どうすることがゴールなのかをまずきちんと決めましょう。リスティングの成績向上は以下4点のいずれかとなります。
ⅰ. 費用は維持で、CVだけを上げる
ⅱ. CVは維持で、費用だけを下げる
ⅲ. CVあげて、費用を下げる
ⅳ. CV上がるが、費用も上がる
ⅲ. が最強ですが、リスティングは最適化していくことが重要なので他3つの状態もokです。より効率良く獲得できることで、また新しい伸び代を見出すためのチャレンジもできます。
広告運用代理店とのリスティング運用について
広告代理店を自社内でインハウス化するか、広告運用代理店に依頼するかは各社が悩むところです。何を重要とするかで判断軸は変わりますので正解はありません。
広告代理店にリスティング運用を依頼する場合の一般的なことを記載
・アカウントは自社アカウントにて運用
・手数料は20%が相場
・他のディスプレイ広告も一貫して同じ代理店に依頼できた方がベスト
・週次/月次レポートが一般的
リスティング広告の仕組みまとめ
リスティング広告の表示順序のロジックや、費用が決まる仕組みを体系的に解説しました。これからリスティング広告に関わりはじめる方の参考になれば幸いです。
リスティングは自社商品にとっての顕在ターゲットに直にアプローチでき、大幅に申込みを増やすことができる広告です。Webマーケの主要チャネルの1つでもあるので、最低限の仕組みは把握しておきましょう。
Webマーケティング全体像を把握するための初心者向けの記事はこちらで解説しています。Webマーケティング導入編として良く見られている記事です。