他領域に遅れを取らずに、航空会社もインバウンドに注力してきております。むしろ国内間移動において外国人の方が飛行機を使いやすいので、各社の業績にも大きく影響を与えます。日本の主要航空会社の訪日事業の取組みを当記事で記述していきます。
各航空会社の数値ベースの基本情報、国内旅行市場に対しての動向はこちらの記事を参照ください。
運輸業全体分析
まず訪日外国人の移動手段の比率をみていきます。
消費額ベース
2013年
新幹線 1037億円
航空機 1816億円
2012年
新幹線 831億円
航空機 1370億円
2011年
新幹線 592億円
航空機 1290億円
2010年
新幹線 728億円
航空機 1994億円
2009年
新幹線 606億円
航空機 2164億円
2005年
新幹線 463億円
航空機 3506億円
ーTSA表参照
日本人による国内旅行にしぼったデータでは、新幹線のシェアが飛行機利用よりも2倍以上と圧倒的優位ですが、訪日旅行者のみでみると航空利用の方が多くなっています。
日本までは飛行機でやってくるのでそれと合わせて、旅行中の移動手段にそのまま航空を選んでいるケースも大きいです。
日本航空(JAL)
2015年
売上高 1兆3337億円(0.6%減) 営業利益 2092億円(16.4%増)
国際線
営業収益4488億円(1.3%減) 貨物収入は543億円(10%減)
有償旅客数 808万人 有償座席利用率 78.8%(75.7%、76.5%)
(海外旅行も訪日旅行も合算で含む)
営業面では、より多くの訪日外国人の顧客に日本の魅力を伝え、より便利にJALグループを利用してもらえるよう、当社ホームページの訪日外国人向け情報案内サイト「JAL Guide to Japan」については、合計7言語の対応とし、観光情報コンテンツの充実を図っているほか、スマートフォンサイトも開設。
また、2016年1月には、航空会社の定時到着率など、さまざまな分析をおこなっている米国のFlightStats社より、平成27年1月~12月の国内線・国際線を合わせた運航実績について、主要航空会社部門で世界1位に認定された。そのほか、アジア・パシフィック主要航空会社部門でも1位に認定されたほか、アライアンス部門でも当社が所属するワンワールドが1位に認定されました。対象となる3部門すべてにおいて1位となり、平成22年、平成24年、平成25年に続いて4度目の三冠獲得となりました。
路線運営面では、2015年11月30日より、成田=ダラス・フォートワース線を787-8型機の新仕様機材「JAL SKY SUITE787」にて週間4便で開設し、平成28年3月20日以降は、毎日運航へと増便しました。ダラス・フォートワース空港は共同事業パートナーであるアメリカン航空の最大拠点であり、米国内および中南米エリアとの豊富なネットワークを活用することにより利便性が大幅に向上し、好調な利用率となっています。
また、2015年10月25日より、羽田=上海(浦東)・広州線を開設、羽田=北京線を増便し、羽田空港発着における中国路線のネットワークを拡大しました。テロの影響により需要が落ち込んでいた成田=パリ線については、2016年1月~3月の一部期間において運休し、需要に応じた柔軟な対応を実施。
商品面では、ビジネスクラスにおいては全席通路アクセスを可能にしたフルフラットシートを、エコノミークラスにおいては標準的な座席配列よりスペースにゆとりを取った「新・間隔エコノミー」を装着した「JAL SKY SUITE」機材の導入を進めている。2015年度末時点では、「JAL SKY SUITE」機材が26路線に広がりました。2016年2月にモスクワ線へ「JAL SKY SUITE 787」を投入したことにより、当社の欧州線はすべての路線で「JAL SKY SUITE」機材による運航となった。また、成田空港のサクララウンジ「ザ・ダイニング」を2016年3月30日よりリニューアルオープンしており、「ひとクラス上の最高品質」をより多くのお客さまへとお届けできるよう努めています。
ー決算書情報より抜粋
JAL Guide to Japan
日本観光情報発信サイト。都市とテーマ別。
→各地域発地の日本行きの飛行機を販売。
Japan Travel Information
役立つ情報ぺージをまとめて紹介しています。
「JAL 新・JAPAN PROJECT」のもと、地域観光のさらなる活性化に向け、地方誘客の拡大に取り組んでいます。
「Japan Explorer Pass」
搭乗72時間前まで、1区間10,800円でご利用できる新運賃。
海外に居住されている顧客を対象に、海外から乗り継ぐ国内線を1区間10,800円(税込)で利用できる割引運賃を設定しました。現行運賃は、日本への出発前までの販売となるが、新運賃は訪日旅行者の多様な国内旅行ニーズに対応することを目的とし、日本到着後も、JALホームページの専用サイトにアクセスすることにより、希望便の出発72時間前まで購入することができる。また海外から日本への国際線区間はどの航空会社に搭乗されても、この新運賃を利用できるので、よりフレキシブルに訪日観光の旅程を組むことが可能となる。東京、大阪など主要都市やゴールデンルートだけでなく、訪日外国人の流れがより多くの地方にいき渡るようにする取り組み。
まずはアメリカ・イギリス・香港の3カ国・地域の英語サイトから販売を開始し、順次、世界26地域サイトでの多言語展開を進める。販売サイトは海外地区サイトのみだが、日本到着後も専用サイトからのアクセスの場合購入が可能。また、日本までの国際線区間は他社便の利用でも新運賃の利用を可能とするなど、よりフレキシブルな設定としました。
訪日外国人向け情報案内サイト「JAL Guide to Japan」を2004年にオープン。
• 2015 年 6 月に、英語と中国語 3 言語に加え、 新たにヨーロッパ 3言語(仏・独・露)でのサービスを開始し、英語、中国簡体字、香港繁体字、台湾繁体字とあわせて合計 7言語に対応し、現在は世界 26 地域で利用されています。
• JALならではの「おもてなし」と日本の「おもてなし」をうまく表現できている点などが評価され、2014 年日本 Web グランプリで企業グランプリ部門「プロモーションサイト賞」優秀賞を受賞しました。
《主なコンテンツ》
基本情報
• 日本の四季、伝統、歴史、現代文化
• トラベルインフォメーション(観光案内、空港、交通、ビザ情報など)
• MAP(温泉、グルメ、世界遺産情報などの検索)
• 『HOW TSU JAPAN』(日本ならではの習慣・マナー・心得などをイラストで解説)
• 各地域の人気コンテンツ(観光・体験型スポット、ご当地グルメ、日本酒など)
• お祭りなど四季折々のイベントカレンダー
• 海外支店スタッフによる日本紹介のブログ
• Omotenashi(JAL ならでは&日本ならではのおもてなしを紹介)
▼JTBとの共同商品
JTB グループでインバウンド(訪日)旅行を専門とする株式会社 JTB グローバルマーケティング&トラベルと、日本航空株式会社は、国内旅行商品を企画・造成する株式会社 JTB 国内旅行企画と連携し、訪日個人観光客向け国内パッケージツアーとして、JAL の国内線ネットワークを利用した商品「JAL スペシャルパッケージ」を共同企画し、2014年12 月から販売を開始。
JTBGMT では、訪日個人観光客向け国内パッケージツアーとして、初訪日のお客さまに安心して利用してもらえる定番コースを揃えた「サンライズツアー」と、アジアからの顧客を中心としたリピーター向けに体験型、グルメ、ショッピングなどの素材や地方商品を中心に揃えたブランド「エクスペリエンスジャパン」を展開していく。これまで、日本国内においてバスや新幹線を利用する商品のみの設定でしたが、「JAL スペシャルパッケージ」を「エクスペリエンスジャパン」ブランドの商品として設定することで、120 路線を超える JAL の国内線ネットワークが利用可能になります。
▼JAPAN PROJECT
2011年5月にスタートし、2016年2月に第56回を迎えるJAPAN PROJECTでは、毎月1つずつ、合計で32都道府県、4都市を取り上げ、機内誌や機内エンターテイメント、ソーシャルネットワークでの国内外への情報発信だけでなく、機内食やラウンジでの地域の食の提供、旅行商品の開発などで、地域への人の呼び込み、交流人口の拡大に取り組んでいます。
地域の食材、郷土料理、銘菓など地域の味を、機内食、ラウンジで提供。新たな産品を地域のブランドに ~地域の魅力を伝える/販売を増やす手伝い ~新たな地域の名産品作りの手伝い
▼台湾「創造旅行社」
台湾の旅行会社で、JR東日本と協働して日本ツアーを販売・JALとJR東日本が共同で出資・運営する台湾「創造旅行社」は、 “陸”と“空”を活かして地方へ訪日外国人を誘致するツアーも開発・販売しています。
• ゴールデンルートだけではなく、東京等での乗継航空券を活用したツアーや、航空+鉄道で東北など地方へ訪問する商品も用意し、訪日外国人の地方への訪問を増やすことに取り組んでいます。
▼JALスカラシッププログラム
アジア・オセアニア地域の大学生を日本に招待し、研修や文化交流を通じて日本への理解や、国境を越えた相互理解を深め、将来の地域を担う若者を育成することを目的とした「JALスカラシッププログラム」を主催しています。
1975年から40年に亘って、毎年実施しているプログラムで、アジア17の国・地域から、1,538人の若者が参加しています。
地方から地方への需要創出〜乗継割引の拡大〜
「ふるさと割」と、地域の新たな魅力による誘客
▼これからの新ジャパン・プロジェクトの取組み
九州の訪日外国人向け通訳観光ガイドの育成・PRに関する連携
JALは、特区制度により可能になった通訳観光ガイドの人材育成の支援として、JALの客室乗務員や空港スタッフを派遣し九州各地での育成研修や有資格者向けフォローアップ研修を実施しています。
通訳ガイド育成に限らず、地域の観光関係者、大学・学校などからの要請により、数多くのマナー講座を実施しています。
JALが長年培ってきたおもてなしのノウハウを地域における接遇品質向上などに役立てていただくことで、観光客の増加や交流人口の拡大につながることが期待される活動しています。
JALアマミノクロウサギの森 トラスト・キャンペーン対象28区画のうち一部区画の取得に協力し、アマミノクロウサギ 保護に貢献。
全日本空輸(ANA)
2015年
売上高 1兆7911億円(4.5%増) 営業利益 1364億円(49.1%増)
営業収益5156億円(10.1%増) 貨物収入は1133億円(9.2%減)
有償旅客数 817万人(13.3%増)
有償座席利用率 74.3% (72.0%、64.0%)
インバウンドも国際線も含む
▼訪日用のWebサイト
スマートフォン利用を前提とした訪日旅客向けのWEBサイトANA Experience Japanを構築し、海外空港のカウンターおよびANA機内で特別冊子を配布することでサイトへ誘導を図っています。
上記の冊子内で他社の商品、施設、サービスをアジア圏(中国/香港/台湾/東南アジア)を中心とした訪日旅客に向けてプロモーション。英語/繁体/簡体。
開設日:2015/11/19。 5万部を無料配布する。
→冊子を広告媒体として広告費用を取ります。
本文1Pで100万円。
▼広告事業
中国、香港、台湾、東南アジアからの訪日旅客に確実にアプローチする為に、旅マエ~旅ナカ~旅アトの旅客導線を確実にカバーする情報コミュニケーションインフラを提供することでANA国際線利用者の利用シーンに応じたアプローチが可能となる。訪日旅行者の旅マエ~旅ナカ~旅アトの全旅行行程にWEBと冊子でアプローチ。
旅マエのFIT旅行者(海外個人旅行)が利用する「ANA SKY WEB」、日本文化を紹介する「IS JAPAN COOL?」などのWEBサイトや、旅ナカの海外空港カウンター、海外発ANA便機内で配布される冊子媒体からANAインバウンドサービスのスマートフォンサイトに集客します。
▼TripAdvisorと提携
全日本空輸は、旅行口コミサイトのトリップアドバイザー内にカスタムコンテンツ「Trending Now」を公開した。日本への旅行を検討しているユーザーに、国内線を使った地方都市への観光を動機づけるのが狙いだ。今回の取り組みでは、14の国と地域で訪日を検討するユーザーに対し、東京・大阪など中心都市でない地方都市への興味を喚起し、国内線を利用して地方都市を旅する動機を作るのが狙いです。
国際線の訪日旅客の推移を見ても、2015年第1〜3四半期の旅客数ベースで前年比150%超。路線別では、中国線(香港を除く)が約160%、タイ線が約250%、シンガポール線が約200%、インドネシア線が約190%、ベトナム線が約190%、フィリピン線が約180%などアジア路線で前年比大幅増。長距離でもアメリカ線で約140%、ヨーロッパ線でも約180%となり、訪日外国人旅行者市場の伸びに呼応してANAも順調に外国人旅客を伸ばしています。
▼アジア圏に注力
今後の重点地域は、ANAのネットワークを考えると中国とアジアになる。推進チームとしては、日本で儲ける仕組みづくりだけでなく、海外での訪日の仕掛けにも力を入れていきます。
ANAが目下最も注力しているのが国内線での外国人旅客の取り込み。
実際に日本国外居住者を対象に「ANA Experience JAPAN Fare」を設定し、訪日客のANA国内線利用を促しています。また、昨年10月から設定している「ANA Discover JAPAN Fare」では、ANAウェブサイトやANA支店だけでなく、海外の旅行会社でも購入可能にしました。
▼海外航空会社と提携
ANAではスターアライアンス以外にも、2013年12月にガルーダ・インドネシア航空、2014年10月にフィリピン航空とそれぞれ包括提携したほか、2016年1月にはベトナム航空と業務・資本提携を結ぶなど外航とのパートナーシップを広げています。グローバルなビジネス戦略という観点だけでなく、「マイル提携などを通じて、そうした提携も訪日客の国内線利用の促進につながる」と山崎氏は見ている。
また、外航にとっても、ANA国内線との連携ができれば、自社ネットワークの補完にもつながる。すでに地方空港に乗り入れているアジア系航空会社の旅客には、地方空港から東京や関西へANA国内線を利用する流れもあるという。
AIRDO
訪日外国人の国内の移動で促進
AIRDOは、2015年6月30日に観光庁から「グローバルMICE強化都市」に選定された札幌市と協働で、国内観光やインバウンド観光の誘致促進、MICEの誘致促進を進め、国内航空会社として初となる「MICE割引運賃」を羽田/新千歳線で設定しました。
AIRDOは2015年8月6日、札幌市の観光とMICE振興の促進を目的に、札幌市と「札幌市の観光・MICE振興に関する連携協定」を締結したと発表。MICE(マイス)とは、「Meeting、Incentive、Convention、Event/Exhibition」の頭文字をとり、会議、報奨旅行、国際・国内の大規模会議や学会、イベント、展示会と短期間に多くの集客が見込まれることを総称しています。
AIRDOが札幌ー熊本のチャーター便を9月に運航、また訪日外国人観光客向け運賃も2015年に発表。新運賃「Welcome to HOKKAIDO Fare」は、訪日外国人観光客向けの運賃。利用するためには、外国籍で日本以外のパスポートを所持し、かつ日本着および日本発の国際航空券も持っていなければならない。さらにその航空券で日本に滞在する期間中の便のみ利用できます。
また搭乗手続き時に、パスポートと日本着発の国際航空券情報の提示が必要となります。予約できるのは、登場2ヶ月前の同一日9:30から搭乗日前日まで。購入期限は、搭乗日を含めて4日以内だ。また予約の変更は行えないです。
AIRDO(エア・ドゥ)は9月2日搭乗分から、訪日外国人旅行者向けの新運賃を設定。新千歳―羽田線など全路線の運賃を一律8800円に設定。急増する来道外国人旅行者の利用増につながります。 同社の訪日外国人旅行者向け運賃は初めて。全日空と日本航空も1万800円で同様の運賃を設定しているが、それより安くしました。
スカイマーク
2014年3月期決算書
2013年 売上 860億円 営業利益 -25億円
東南アジアなどからの訪日外国人の取り込みを狙い、さらなる国際線のチャーター便の運航の検討をしています。
今までは目立った訪日旅行に特化した施策は行っていなかったです。英語、中国語、韓国語の3言語にサイトの他言語対応は行っています。
2018年度の参入を目指す国際チャーター便について、国内の発着空港を羽田のほか、茨城や福岡、鹿児島にも広げる方向で検討している。アジアなどの訪日外国人の需要を取り込んでいく。全日本空輸とのコードシェア(共同運航)便の開始時期に関しては、17年秋以降になるとの見通しを示しました。
独自の空港で攻めていく方針です。
ソラシドエア
九州・沖縄に特化した航空会社です。
2014年度
売上高 356億円 営業利益 10億円 160万人 64%
2015/8に、「ソラシドエア」初の国際線として、ソラシドエアと宮崎交通がタッグを組んで、宮崎-高雄(台湾)線の国際チャーター便を運航。
インバウンド施策はまだ特に行っていません。
スターフライヤー
北九州空港に本拠を置く、日本の航空会社
2015年 売上高 345億円(0.8%減) 営業利益 20億円(722%増)
2012年7月より、北九州/釜山線で国際線を飛ばしています。
インバウンド施策は本格的には行っていなません。
◎アイベックスエアラインズ
◎フジドリームエアラインズ
◎オリエンタルエアブリッジ
→特にインバウンドへの取組みなし
続いて、LCC(Low Cost Carrier)の訪日観光業へのアクションをみていきます。
ピーチ
ANAホールディングスを筆頭株主に持ち、関西国際空港を拠点とする日本の格安航空会社 (LCC)
2013年 売上高 305億円 営業利益 20億円
Peachはすでに海外からの旅行者を大量に日本に送り込むことでインバウンドの盛り上がりに貢献しています。
▼香港のナレッジも取り入れています
文化も習慣も消費行動も違う外国人のニーズを汲み取るのに、日本人だけで考えていたのでは限界があります。国内LCC唯一の勝ち組とされるPeachは、最初からそう考えて設立されたそうです。ANA傘下のイメージが強いですが、筆頭株主ではあるものの出資比率は38.67%にとどまります。残りは香港のファンド、ファーストイースタン・インベストメント・グループ(FE)と日本の政府系ファンド、産業革新機構が持ちます。
ホテル事業も手がけるFEから、主要ターゲットの1つである中国、台湾などからの旅行客のニーズを学びとる狙い。
2015年地点で、韓国、香港、台湾の順に就航した国際線では、約6割を外国人客が占めています。
20歳代から30歳代の若者で、全体の5割を占めている。「将来にわたって利用していただけるお客様」をしっかり抱え込んでいます。またアジアからの利用客や若者にとって価格が魅力となっています。FSCと比べて、国際線は3分の1から4分の1程度、国内線は2分の1から3分の1程度という低価格を実現しています。
▼『日本の会社としてのサービスを提供する』
美しさや清潔さ、心の行き届いた親切な接客。それと、香港の空港にピーチの航空機が着陸した際に、機体を見た空港職員が、『Kawaii!』と言って喜んだそうです。ピーチのロゴマーク、航空機の塗装、客室乗務員の制服などは、現代日本の『キュート&クール』を意識したデザインになっています。それらも含め、外国から評価されている『日本の良さ』を提供。
特に香港人の乗客にはウケが良く、香港便で機内販売しているピーチのオリジナルグッズは毎便ほぼ完売となっているとのことです。ピーチは、日本の「カワイイ」をうまく取り込むことで、単に低価格というだけのLCCにとどまらず、「日本らしさ」を持ったブランドの構築を実現していると考えれます。
LCCの業界には『VFR』(Visit Friends and Relative)という言葉がある。『友人知人親族訪問』という意味だが、ピーチがLCCを通じて実現しようとしているのは今まで飛行機を利用することがなかった人々に手軽に利用してもらえるようにして、新しいマーケットを創出しようとしている。
インバウンド専門の広告代理店プレシャスデイズ株式会社との業務提携により、Peachを利用する訪日台湾客・香港客向けモバイル広告配信を2016年7月に開始しています。
Peach航空券購入サイトや購入者へのメール配信等により、これから確実に日本へやってくる台湾・香港の旅行客を中心に日本国内の免税店や飲食店・観光施設の情報を配信しています。
なお、広告主の募集は2016年5月より開始し、まずは大阪の免税小売店・飲食店・観光施設を対象に、先着100件限定で1ヶ月間の広告掲載費が無料となる「無料モニター掲載キャンペーン」を実施。
ジェットスター
2015年6月期
売上高419億円 営業損失79.45億円
▼WILLER TRAVEL が業務提携
2016年4月より国内観光交通に変化をもたらす新たな取り組みを始動。
国内最大の LCCであるジェットスター・ジャパンと日本全国をつなぐ高速バス予約サイトを展開する WILLER TRAVEL が、新しい構想の実現に向けた接続のよい効果的な路線ネットワークの拡大や、それぞれの事業活動における協業体制の構築、さらに営業活動の連携および新しい旅のスタイルの提案など、国内旅行において AIR&BUS によるシームレスな旅行環境を実現。
6 月にジェットスター・ジャパンが東京(成田)発、名古屋(中部)行きの特別フライトを運航し、この特別フライトを利用した 1 日限定の「AIR & BUS 成田発伊勢行きツアー」を WILLER TRAVEL が販売。
▼国際線も注力
2014年12月、ジェットスター・ジャパンが国際線進出を正式に発表。初の国際線路線は香港線だったが、日本側の発着地は成田空港ではなく関西空港。つまり、「関西~香港線」。
ジェットスター・ジャパンは2015年10月13日より、台北(桃園)と日本の三大都市圏である東京(成田)、大阪(関西)、名古屋(中部)を結ぶ3路線の予約販売を開始した。台北線の就航は、同社として香港に続く国際線2都市目となります。
2016年冬期運航スケジュールでは、13都市(国内11都市、海外2都市)、22路線(国内17路線、国際5路線)、1日あたり最大52往復104便を運航することとなります。
効率的な機材活用のため、国際線は成田国際空港と中部国際空港、関西国際空港の3空港に絞る戦略を続ける。「インバウンド(訪日外国人旅行者)を3都市に集中させ、地方へは国内線乗り継ぎを活用」(片岡優会長)する戦略が功を奏しています。
ジェットスター・ジャパンは成田/マニラ線を開設しました。日本のLCCとしては初めての東南アジア線で、運航機材は180席のエアバスA320型機。GKによれば、成田発の初便には幼児1名を含む157名が搭乗し、搭乗率は86.7%となりました。マニラ発初便の搭乗率は約90%だったという。同路線は週3便で運航を開始し、4月下旬から最大で週7便に増便する予定。また、4月以降には中部、関空/マニラ線の就航も予定しています。
成田/マニラ線の3月の予約は好調で、すでに9割強が予約されています。中部、関空/マニラ線についても、4月の予約率は8割を超えているといいます。予約の7割がフィリピンからの訪日旅行者で、販売はGK公式ウェブサイトと旅行会社経由でおこなっています。
「日本在住の外国人数を見るとフィリピンは3番目に多く、(同路線の開設は)大きなビジネスチャンス」と意欲を示した。今後は日本在住フィリピン人の帰省需要の獲得に取り組んでいく。
春秋航空日本
2014年12月期
売上高8.36億円 営業損失48.89億円
春秋グループは中国最大の旅行社の春秋国際旅行社を中心に構成され、傘下には SpringJapan(春秋航空日本)、春秋航空上海、日本春秋旅行等があります。
▼DeNAとの提携
2016年3月、DeNAトラベルはこのほど、同社ウェブサイトの予約システムにおいて春秋航空日本(IJ)と連携し、同社の航空券の取り扱いを開始しました。DeNAトラベルによると、OTA業界でIJの予約システムと直接連携するのは同社が初めて。今後はDeNAトラベルのウェブサイト上で、IJの航空券の空席照会、予約、発券をおこなうことが可能になります。
DeNAトラベルはこれまで、ジェットスターグループやエアアジアグループ、バニラエア(JW)、タイガーエア台湾(IT)、ティーウェイ航空(TW)、スクート(TZ)、香港エクスプレス(UO)とも同様のシステム連携を実施。今後も提携航空会社を増やしていく考えです。
▼国際線の就航
中国の格安航空会社(LCC)である春秋航空から3分の1の出資を受けた春秋航空日本(本社:千葉県成田市、Spring Japan)が、初の国際線となる成田~武漢、成田~重慶の就航を2016年2月から開始。
関西国際空港発着の11路線などを運航する中国最大のLCC、春秋航空日本支社
2015年の(春秋航空の)日中路線利用者は120万人に達する見通し。2016年はさらに2~3割増を目指しています。訪日中国人は増えていますが、中国の人口に占める割合は0・4%ほどで、台湾や韓国の比率よりまだまだ低い。口コミがさらに広がることで、まだ伸びる予定。
新規就航路線の考えは
「中国の地方都市との新路線就航を進めている。日本の地方空港も、自治体の助成などもありメリットが大きい。就航させたいのが成田と関空を結ぶ便だ。関空から入国し、観光しながら陸路で東京まで移動し、空路で再び関空に戻るといった利用が可能になります。
▼ホテル運営
愛知県内でホテル運営を始めています。
「訪日外国人の増加によって、日本の都市ではホテルや観光バスなどが不足している。訪日客を増やすには懸念材料となる。このため、関空や中部国際空港周辺などを中心にホテルを展開していく。観光バス事業も、M&A(企業の合併・買収)などを検討し、自前でバス会社を運営したい
▼SIMカード販売
株式会社テレコムスクエア(本社:東京都千代田区)と春秋航空日本株式会社(本社:千葉県成田市、以下Spring Japan)は2月13日から、Spring Japan国際線機内において訪日外国人旅行者向けにSIMカードの販売を開始した。
当サービス「Wi-Ho!® Data&Voice Prepaid SIM カード」は場所や時間にとらわれずにインターネットや通話が可能。プランは1GBプラン(5,300円)と3GBプラン(7,300円)の2種類。国内通話も可能で、1通話10分以内ならかけ放題となります。国際通話は300円分の無料通話がついてくる(コンビニエンスストアにてリチャージ可能)。nanoSIMとmicroSIMに対応します。また、サービス利用中は英語、中国語、韓国語の3言語にてサービスサポートが受けられる他、3回までは無料にて通訳のサポートも提供します。
春秋航空は中国でのネット戦略も行っています。
▼ビックカメラとの提携
ビックカメラは春秋グループを率いる春秋国際旅行社と業務提携に関する基本合意を締結するとともに、春秋航空日本の第三者割当増資を引受ける投資事業組合宛に出資します。
業務提携の内容としては、春秋国際旅行社で訪日旅行を申し込まれたお客さんや春秋航空で訪日されるお客さんに、春秋航空機内(日本路線)や春秋グループ各 HP、SNS で優待クーポン等の優先配布や配信。春秋グループの空港カウンターや機内雑誌・設備等を通じた当社のプロモーション。爆買訪日客の取り込みが目的です。
日本の航空会社の訪日旅行分野における取組みや考え方を記していきました。航空会社はとにかく自社に新しい訪日客を乗せたいという目的があり、多くの客にリーチ、またはブランドを認知してもらうために他業種との協同が目立ちます。
訪日旅行市場における旅行業界全体の分析はこちらの集約版記事でまとめています。