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【温泉ソムリエが解説】温泉の効能・泉質別の効果を徹底解説!

投稿日:2019年6月2日 更新日:

温泉に関する正しい知識を把握して入浴することで、温泉における心理的満足度や身体/健康への効能を最大化させることができるでしょう。

温泉の定義から効能、正しい入浴方法まで解説していきます。ここで紹介する内容は温泉ソムリエになると身につけられる知識とも言えますので、温泉ソムリエセミナーではどういったことを学べるのかということの参考にもなると思います。

温泉ソムリエのテキスト全250ページの中でも解説されている内容なので、テキストでの掲載順に内容を解説していきます。

温泉ソムリエについての詳細記事はこちら。

[2019年]温泉ソムリエとは?資格の取得方法や学べる内容まで徹底解説!

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温泉になる定義

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日本には実は1948年に施行された「温泉法」というものが存在し、温泉にまつわるいろいろなことが定められています。温泉の定義も厳密に決められており、下記の2つの条件のどちらかを満たすものとなります。

温度(温泉源からの搾取時)が25℃以上であること。

含有成分に関する19の特定の条件のうち1つ以上規定値に達しているもの。
- 水素イオンや総硫黄など

どちらか1つを満たせば温泉となるので、冷たい水でも特定成分を含んでいれば温泉である場合もあります。

温泉の効能:療養泉の定義

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上記で解説したように温泉の定義は実はかなり広いです。温泉のなかで効能がある温泉は実は一部なのです。

効能がある温泉は泉質を持つ温泉であり、各温泉に泉質名がつくためには療養泉である必要があるのです。日頃人々に愛されている人気の温泉はただの温泉ではなくて、大体全て療養泉です。

療養泉になるための定義は下記の2つの条件のどちらかを満たすものとなります。

源泉温度が25℃以上であること。

含有成分に関する7つの特定の条件のうち1つ以上規定値に達しているもの。

つまり療養泉となれる成分は限られているということです。療養泉にはそれぞれの泉質名があり(温泉の種類は以降で解説)、それぞれの特徴に応じた効果があります。

これら効果が一般的に効能と言われるものですが、厳密には温泉は薬ではないので効能と呼んではいけず、適応症という必要があるのです。まあでももう巷では効能って言われがちで通じやすいと思うので、この記事では「効能」の通称で進めていきます

温泉の効能:温泉の種類を知る

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1つ1つの温泉の種類には名前があります。

例.酸性・含硫黄ーカルシウム・ナトリウムー硫酸塩温泉(低張性 酸性 高温泉)

例えばこんな感じで、4つの要素から成り立っています。

1.泉質

泉質は10種類に大別され、各泉質毎に効能などが異なります。温泉名の中でも最重要な要素となりますので、それぞれ泉質10種類の特徴は次の章で解説します。

2.浸透圧

人間の身体の細胞液と等しい浸透圧を持つ液体が等張液と呼ばれます。(1リットルの水に対して8.8gの食塩が含まれた食塩水相当です。)
温泉にも低張性/高張性があり、等張性と高張性は濃い温泉となります。

・低張性...水分が吸収されやすいので、ふやけやすい

・高張性...成分が吸収されやすいので、湯あたりしやすい

くらいの違いでそこまで重要な差ではないです。

3.水素イオン濃度

アルカリ性/弱アルカリ性/中性/弱酸性/酸性と分けられます。
アルカリ性の方が美肌効果が強くお肌がツルツルになる温泉です。酸性の方は殺菌効果があり皮膚病などに効果があると言われています。

強アルカリ性と強酸性も存在し7分類となりますが、これらは滅多にないです。

4.泉温

源泉の温度によって4つに分類されます。

42℃以上...高温泉
34〜42℃未満...温泉
25〜34℃未満...低温泉
25℃未満...冷鉱泉

4要素あるとは言え、ほぼ重要なのは泉質がメインで、アルカリ/酸性などの水素イオン濃度が少々です。

各泉質の特徴と効能(適応症)

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含まれる成分によって泉質が決まり、泉質毎に温泉の特徴や身体へ与える影響も大きく異なります。全10種類の泉質の紹介をします。

泉質名をつけるルールと言われる「鉱泉分析法指針」が2014年7月1日に改定され、各泉質毎の適応症の指定なども変わりました。泉質の区分が9個だったのも10個に変わりました。

泉質名の定義付けのルールも次の章で解説します。

温泉の効能・泉質1.単純泉/アルカリ単純泉

現在、日本で一番多い泉質です。かつては2.塩化物泉が日本一でしたが採掘技術の発展により単純泉が一番になりました。アルカリ単純泉の方は肌の角質を取る美肌効果があります。

特徴:老人から子供まで万人が入れる優しい泉質

主な適応症:神経痛・筋肉痛

主な温泉地:鬼怒川温泉(栃木県)
伊香保温泉(群馬県)
下呂温泉(岐阜県)
道後温泉(愛媛県)

温泉の効能・泉質2.塩化物泉

温効果が高く湯冷めしにくいので、高齢者向きです。
温泉成分のコーディング効果があり保湿剤のような役割を果たす。アルカリ性の美人の湯に入った後に塩化物泉の温泉に入り肌の乾燥を防ぐことを美人の仕上げとも呼ばれるほど。舐めるとしょっぱく感じます。

特徴:塩のパックで湯冷めしにくい。殺菌効果あり。
適応症:切り傷、うつ病
主な温泉地:湯河原温泉(神奈川県)
熱海温泉(静岡県)
城崎温泉(兵庫県)
指宿温泉(鹿児島県)

温泉の効能・泉質3.炭酸水素塩泉

カルシウムやマグネシウムイオンが多く鎮静効果が強いと言われています。皮膚を滑らかにする美白効果を持ち、美人の湯の代表例です。胃酸を中和させ排泄を促進させる効果があり、飲用としても人気です。

特徴:ツルツルになる美人の湯。入浴後、清涼感を感じる。
適応症:切り傷、冷え症
主な温泉地:湯の川温泉(北海道)
赤倉温泉(新潟県)
飛騨高山温泉(岐阜県)
白浜温泉(和歌山県)

温泉の効能・泉質4.硫酸塩泉

鎮静効果が高く捻挫や切り傷などの外傷に加え、脳卒中などにも効果が良いと言われます。血圧を降下させ、麻痺の改善や動脈効果予防などに最適。

特徴:血圧を下げ鎮静効果あり。
適応症:きりきず
主な温泉地:浅虫温泉(青森県)
山中温泉(石川県)
玉造温泉(島根県)

温泉の効能・泉質5.二酸化炭素泉

泡の湯とも言われ、入浴すると身体に小さな気泡がつく。炭酸ガスが皮膚から吸収され血液の循環を良くします。心臓を通さず血液循環をよ上げるため心臓への負担を減らすことにも繋がり心臓の湯とも言われます。

特徴:血管拡張作用
適応症:末梢循環障害、自律神経不安定症
主な温泉地:有馬温泉(兵庫県)
別府温泉(大分県)
霧島温泉(鹿児島県)

温泉の効能・泉質6.含鉄泉

鉄分を含むため、空気に触れると茶褐色になります。見た目で1番判断しやすい泉質です。含鉄泉と認定されるほどの多くの鉄分を含んでいることは珍しいので、稀な泉質となっています。

特徴:茶褐色の温泉貧血や冷え性などに効果あり女性に人気。
適応症:なし
主な温泉地:登別温泉(北海道)
西浦温泉(愛知県)

温泉の効能・泉質7.硫黄泉

刺激の強い温泉なので、高齢者や皮膚が弱い方は避ける方が良いです。その分保温効果は非常に高いので体が温まりやすい温泉。ゆで卵の腐ったような臭いがして、ザ温泉らしい温泉です。効果が高い分、湯あたりはしやすいです。

特徴:メタボや高血圧に効き生活習慣病の湯と言われる
適応症:アトピー性皮膚炎、慢性湿疹
主な温泉地:草津温泉(群馬県)
月岡温泉(新潟県)
別所温泉(長野県)
雲仙温泉(長崎県)

温泉の効能・泉質8.酸性泉

酸性度の高い温泉で、酸味があります。一部黄褐色であることもあります。抗菌力が高く皮膚病などへの効果は高いです。硫黄泉同様に効果が高い分、湯あたりはしやすいです。また肌が弱い人は避けた方が良いでしょう。肌にピリッと感じるほどの刺激があり疲労を取る効果は高いです。

特徴:刺激が強い。
適応症:アトピー性皮膚炎
主な温泉地:蔵王温泉(山形県)
新玉川温泉(秋田県)
草津温泉(群馬県)

温泉の効能・泉質9.放射能泉

放射能泉は珍しく、放射能泉にしかない効能が多いです。危険性は一切ないです。腎臓などへも効果が高く、健康的な効能は高いですが、湯あたりはかなりしやすいので注意。

特徴:効能の幅が広いです。
適応症:痛風、胆石症

温泉の効能・泉質10.含よう素泉

2014年の改定で追加された泉質です。酸化力が高く殺菌作用があります。体質改善として飲用としてしようされることも多いです。薬味がします。過剰に摂取するぎると危険な成分なので気をつけましょう。

特徴:飲用でも体質改善に効く
適応症:高コレステロール血症
主な温泉地:大湯温泉(秋田県)
白子温泉(千葉県)
聖籠温泉(新潟県)

泉質名のつけられ方

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泉質名に入っていなくとも、その泉質の効果を十分に持っていることはあります。基準値を超えると温泉名に反映されるだけであって、基準値まで1足りなかっただけで温泉名には入っていないが十分に強い泉質効果を持っていることもあります。

そういった効能を見逃さないために泉質名がどのようにつけられているのか把握をしておきましょう。

大きく三つの種類に分かれます。

①単純温泉 ②塩類泉 ③特殊成分を含む療養泉

①単純温泉→[温度のルール]

泉質:単純温泉
源泉温度が25℃以上を超えており、他に泉質名がつく条件が該当しない場合(=特定成分が含まれない場合)は、単純温泉になります。塩類泉と特殊成分ではないものが単純温泉ということです。

②塩類泉→[合計のルール]

泉質:塩化物泉/炭酸水素塩泉/硫酸塩泉
「溶存物質(ガス性のものを除く)」が1000mg/kg以上ある温泉は塩類泉と呼ばれます。塩類泉は「陽イオンー陰イオン」で記載されます。

陽イオンというのはナトリウム/カルシウム/マグネシウムなどの成分。陰イオンとは塩化物泉/炭酸水素塩泉/硫酸塩泉といった泉質名になります。

表記方法としては陽イオン/陰イオンでもっとも含有量が多い要素名を記載します。例外として20mval%(ミリバル%)以上の成分が複数ある場合は、「・」で区切り該当要素を全て多い順に記載していきます。

③特殊成分を含む療養泉→[個別のルール]

泉質:二酸化炭素泉/含鉄泉/硫黄泉/酸性泉/放射能泉/含よう素泉
塩類泉ではなく、それぞれの要素が規定値を超えていれば、単純○○泉と記載されます。

例.単純硫黄温泉
→総硫黄が2mg/kg以上含まれている。

温泉分析書から温泉の効能を読み解く

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温泉分析書という決まった書式があり、定められた項目の説明がされています。温泉分析書は利用者への掲示の義務があるので、多くの温泉では脱衣所に温泉分析書の写しが設置されています。

温泉分析書の中に記載されている項目において、それぞれの読み方を解説します。これさえ把握しておけば、温泉分析書を読んでどういった温泉なのか判断することができます。

1.泉質
前の章で解説させていただいた10種類の泉質名ですね。複数の泉質名が並んでいる場合は順番も重要です。より前に書いている泉質ほど濃く、その温泉のメイン泉質に近くなります。
2.泉質別適応症
一般的適応症と泉質別適応症の2つがあり、一般的適応症は全ての療養泉で共通です。各泉質別で定められている適応症の方が注目する方です。こういう人は温泉に入ることを避けましょうという禁忌症も掲載されているので合わせて目を通しましょう。
3.pH値(水素イオン濃度)
アルカリ性なのか酸性なのかといったことがここで分かります。
pH値7.5以上の弱アルカリ性から美肌効果があります。
4.湧出量
1分間あたりに温泉が湧出するリットル数が表示されています。湧出量によって温泉の鮮度と衛生度が決まります。浴槽に早く温泉が溜まるほど鮮度が良くなりますので、湧出量×浴槽サイズが鮮度となります。
5.泉温(源泉温度)
源泉温度が高いほど成分の濃い温泉です。一方で源泉温度が低いと加温する必要があり成分が失われることもあり優しい温泉です。
6.浸透圧
低張性は体に水分が吸収されやすくふやけやすいです。高張性は成分が体に浸透しやすく湯あたりをしやすいです。

温泉分析書とともに掲示するべき項目

加水・加温・ろ過/循環・添加の4項目です。これらが行われている場合は、行なっている理由まで掲載する義務があります。

これらが実施されている場合は純粋な良きよりも成分が薄まっています。

温泉が健康に与える効果

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温泉の種類別の特徴などを解説してきましたが、次に温泉そのものが我々にもたらす便益・効果はどのようなものがあるのか解説していきます。

1.物理的効果
物理効果と心理効果に分け説明をしていきます。
a,温熱効果
体が温まる温熱効果はもっとも分かりやすいですね。体が温まり血管が広がることで、新陳代謝が高まります。体内の不要物の排泄を促すことにも繋がり、例えば疲労物質「乳酸」も排出してくれるので疲労回復に繋がります。

42℃以上の熱いお湯だと興奮の自律神経「交感神経」が活性化され目が覚めた状態になります。37~40℃などゆるいお湯では気持ちを鎮める働きをするリラックスの副交感神経を活性化してくれます。
b,水圧効果
体の表面にかかる静水圧により全身に圧力がかかり、内臓が刺激され内臓運動につながります。水圧で血管が細くなり血液が心臓に送られやすくなり、血液やリンパ液の循環が活発化されます。

心臓にかかる負担を少なくするため、半身浴や足欲を好む人もいます。
c,浮力効果
温泉に首まで浸かると、体の重さは約10分の1に感じられるようになりますので、体を楽に動かせるようになります。体が軽くなった感覚により筋肉が緩み、脳がリラックスした状態になります。

2.心理効果(転地効果)
温泉は気持ち的な面でも大きな効果をもたらします。いつもと違う体験をすることで、脳内のホルモンを調節する内分泌系や呼吸、消化といった生命維持活動をつかさどる自律神経が活性化されるそうです。ストレスを解消し、精神疲労や体調不良に効果を発揮します。

少し遠出した温泉や、大自然に囲まれた温泉、絶景を眺められる温泉などはこの心理効果をより大きくしてくれます。海や山に近い温泉地では気分が良くなりやすいですが、環境は体内に大きく影響を与えているのです。

3.薬理効果
各泉質に含まれる成分を体の皮膚から吸収することで得られる効果です。効果自体は各泉質によって異なりますが、体の表面に効きやすいものと、内臓や血液など体の内部に影響を与えやすい成分に分かれます。

4.発汗の効果
体内には汗でなければ排出できない老廃物もあります。イライラしやすくなるなど体に有害な成分が多く、温泉で自然発汗することでそれらの成分を排出できます。また尿でしか排出できない成分もありますが、温泉には尿を出やすくする効果もあります。

温泉の正しい入浴方法

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温泉の効能をより最大化させられるように、しっかりと正しい入浴方法を把握しておくことは大事です。

一般的な全身浴・半身浴以外にも温泉の入浴方法は多くあり、それぞれのメリットを理解して自分に、その時にあった入り方をしましょう。

また温泉で身体へ負担をかけないように、温泉成分の健康効果を最大限味わえるような入浴時の注意やコツを知ることで温泉の価値が上がることでしょう。また日々の自宅でのお風呂入浴でも使える知識です。

おすすめの入浴方法に関しての詳細はこちらの記事を参照ください。

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温泉の効能・泉質別の効果まとめ

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温泉の定義から始まり、温泉の基礎知識を徹底解説していきました。温泉には泉質の種類があることや、それぞれの泉質の成り立ちや効能を知ることできたと思います。実際に自分が入浴している温泉のことを理解しているということは気持ちも高まり、より一層効能の効果も高くなることでしょう。

温泉にもっと詳しくなるるべく温泉ソムリエになることへ興味がある方向けに、温泉ソムリエとは何なのかの概要やなり方を紹介した記事はこちらです。

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藤谷亮太(ふじっこ)

藤谷亮太(ふじっこ)

大手旅行代理店でWebマーケの子会社設立→旅行系ITスタートアップのマーケティング責任者。日本一周/世界一周/旅本自費出版など旅行を軸に活動。熱狂者を紹介していくYoutube『フジトーク』も運営中。Webと旅行が好きな28歳。

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