目先の 訪日外国人の数を目標に掲げることももちろん重要ですが、長い目でみると満足度を上げてまた行きたいと思ってもらうことが非常に重要です。その一環として、多くの外国人が不便と感じやすい通信の部分では課題も大きいですが、近年この分野において官民問わず大きな動きがあります。
通信の種類
訪日外国人旅行者が日本滞在中に利用する通信手段は無料公衆無線LAN、SIMカード、モバイルWiFiルーター等が挙げられます。
観光施設者や通信事業者等により無料公衆無線LAN環境の整備が全国で進んでおり更なる整備促進に取り組んでいっていますが、 下記理由を踏まえて、SIMカードやモバイルWiFiルーター等で相互に補完し、通信環境の改善を図っていっています。
・訪日外国人旅行者の通信環境の利用意向として、SIMカード・モバイルWiFiルーターの需要があること
・アジアを中心にSIMカードの購入が街中で容易にでき、日本においても入手場所を増やす必要性があること
・無線LAN環境はアクセスポイントからの電波が数十メートルであるため利用可能エリアが限定的であること
・日本の携帯回線の人口カバー率は世界の中でも優れており、途切れず利用できる環境が整っていること
屋内の施設では無料公衆無線LANも有効。
人が多く集まり、滞留する施設では民間(施設者・通信事業者)による投資インセンティブが大きく、無料公衆無線LANの設置が進んでいます。
屋外の施設ではSIMカード・モバイルWiFiルーター等を推し進める。
公園や街全体といった広大なエリア・屋外やバスや鉄道車内といった移動体については携帯通信網の親和性が高く、SIMカードやモバイルWiFiルーターの利用が見込まれます。
訪日外国人旅行者の通信手段の利用意向を調査したところ、無料公衆無線LAN(70.5%)に次いでSIMカードの利用意向が高い(28.6%)という結果になりました。
▼SIMカード・モバイルWiFiルーターの促進キャンペーン
訪日外国人旅行者のSIMカード・モバイルWiFiルーターの利用意向やSIMカードの入手場所を拡大していく必要性があることから、「訪日外国人旅行者向けSIMカード・モバイルWiFiルーター利用促進キャンペーン」を実施しています。
当キャンペーンを通じて、新規にSIMカードやモバイルWiFiルーターの取扱いを行いたい観光関係者の募集やキャンペーン広報を日本各地の取扱い場所で展開することで、入手場所の拡大と当該サービスの認知向上と更なる需要喚起に繋げています。
キャンペーンに関わる取扱店舗
空港カウンター 91
宿泊施設 28
駅・港 11
家電量販店 239
コンビニエンスストア 274
通信端末専門店 78
観光案内所 11
その他 70
総計 802
TRAVEL JAPAN WiFi
Wi2(ワイヤ・アンド・ワイヤレス)
設立 2007年
▼ミッション
Wi2が提供する全国最大20万箇所以上のWi-Fi スポットへの無償自動接続機能と、観光情報や施設情報等の配信機能により、訪日外国人の国内観光旅行を支援するスマートフォンアプリ「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」を核として、訪日外国人観光客向けに、旅行中のインターネット環境を整えることを中心とした3つのサービスを提供し、2020 年を目標に「旅行者にとって魅力ある日本」の一助となるサービスを目指しています。
訪日外国人向け 英語、簡体中国語、繁体中国語、韓国語、タイ語の5言語語対応)
大きな3本柱があり、
1つ目はWi2が整備した全国24万カ所のWi-Fiスポットを外国人に解放すること。同社が訪日外国人にアンケートをとったところ、どこにスポットがあるのか、どのSSIDに接続してよいのかが分かりにくい上、接続時間に制限があるなど、Wi-Fiを満足に使えていないことが分かったという。そこでTRAVEL JAPAN Wi-Fiでは、専用のアプリを使うことで全国24万のWi-Fiスポットを、無料で簡単に接続できるようにしました。もっとも初期状態で使用できるWi-Fiスポットは、スターバックスや一部自治体の無料Wi-Fiスポットなど一部に限られています。すべてのWi-Fiスポットを利用できるようにするにはパートナー企業や自治体などから配布されるプレミアムコードを登録する必要があります。またプレミアムコードの使用期限は2週間となっており、期限を過ぎた場合は再度プレミアムコードを取得する必要があります。
2つ目は、パートナー企業が提供する、旅行に役立つレコメンド情報を案内すること。TRAVEL JAPAN Wi-Fiに参画するパートナーには、日本航空やJCB、ドン・キホーテなどの企業だけでなく、京都市や神戸市などの自治体も含まれています。それぞれのパートナー企業・自治体が提供する情報を配信すると、それらが専用アプリのタイムライン上に表示され、旅行者が役立つ情報を入手しやすくなります。
3つ目は、TRAVEL JAPAN Wi-Fiを利用した外国人の行動を収集して解析し、パートナー企業にそのデータを提供することで、サービス改善に役立てる仕組みを整えていること。Wi-Fiスポットの接続情報と、スマートフォンGPSから利用者の行動を取得し、アクセンチュアと開発したビッグデータ解析エンジンを用いてこれを分析。どの国から来た観光客が、どの時間帯に、どういった所に多く訪れているかなど、利用者の行動を確認して、それをサービスの改善に生かし、“おもてなし”を進めるのが大きな目的となっています。
アプリをダウンロードするだけでWi2の提供する6万スポットが利用可能になる。またパートナー企業が発行するプレミアムコードを取得すれば、20万スポット以上が利用できるよう、アップグレードされる。
アプリ自体は入国前でも、来日後でもダウンロード可能なので、日本に来たその日からWi-Fi接続が可能であり、プレミアムコードはパートナー企業が来店時や商品購入時にプレゼントとして配布しています。単にインターネット環境を提供するだけでなく、観光スポットについての案内やパートナー企業が提供する商品、店舗情報やお得な情報などもアプリに表示されます。
2014/12開始で2015/3にはダウンロード数50万超え。
TRAVEL JAPAN Wi-Fiは、あくまで訪日外国人に向けたサービスであるため、海外から訪れた人や海外在住の日本人は利用できますが、日本在住の人は利用できない仕様です。日本在住かどうかは、アプリ側でスマートフォンやSIMなど複数の情報を元に判別しているとのこと。日本人が利用できないようにした理由について、大塚氏は「外国人は旅行中の通信環境としてフリーのWi-Fiスポットを求める声が大きい。日本の顧客はLTEなど携帯電話のネットワークをメインに使用し、Wi-Fiはそれを補完する存在となっているため、重みが違う」と話しています。ただし、日本でも同種のプログラムを提供して欲しいという声があれば、前向きに検討していくとしました。
ソフトバンク
2015/5、ソフトバンクが
利便性と不正利用抑止を両立した訪日外国人向け無料Wi-Fiサービスの提供を開始しました。
~専用電話番号への発信で簡単登録! アプリ不要の「FREE Wi-Fi PASSPORT」登場~
無料Wi-Fiサービスは訪日外国人からの需要が高く、導入した施設への来訪者増加が期待できる。その一方で利用者の利便性を優先した結果、利用者本人確認が不十分なケースが見受けられ、悪意ある利用者による不正利用への対策が急務となっています。
「FREE Wi-Fi PASSPORT」では、利用中の携帯電話より専用電話番号へ発信(通信料無料)するだけで利用者登録が完了し、専用アプリケーションのダウンロードは必要なし。
英語、中国語および韓国語の3カ国語に対応し、国内スポット数No.1となる全国約40万のアクセスポインで利用可能。
docomo Wi-Fi for visitor
訪日外国人の顧客に向けて、1週間プラン900円、3週間プラン1,300円で利用できる、
ナショナルキャリア提供の公衆Wi-Fiサービス。
「NTTドコモ」は日本最大の顧客数(約6,500万人)を持つモバイルキャリア。「docomo Wi-Fi for visitor」は、NTTドコモが国内の顧客に向けて提供しています。「docomo Wi-Fi」 を訪日外国人の顧客に向けて提供するサービスです。NTTドコモは、日本国内で得た信頼と安心のある公衆Wi-Fiサービスを、訪日外国人のお客様にも安心して利用してもらいたいと考えています。
SHINOBI Wi-Fi
SHINOBI Wi-Fiとは、訪日外国人のニーズに応えるため、「Wi-Fiインフラ整備」+「わかりやすいコンテンツ」を提供し、訪日外国人への「集客」と「おもてなし対応」のサポートをするサービス。
外国人に人気の「忍者」をキャラクターにすることで、サービスへの興味を促進し、エリアオーナー様の発信したい情報を分かりやすく伝えることができます。観光施設・商業施設向け 訪日外国人専用Wi-Fiサービスです。
FREETEL
SIMフリー端末の日本メーカー、通信事業者(MVNO)でもあるSIMフリーキャリア「FREETEL」を展開するプラスワン・マーケティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:増田薫)は、2015年12月21日より、訪日外国人の方が日本滞在中、高速データ通信を楽しめるFREETEL Prepaid Data SIM for Japan」の販売を開始しました。
本プリペイドSIMの大きな特長として、facebookやWeChat、LINEなど、訪日外国人の方が普段利用しているSNSアプリのデータ通信料を使い放題としました。これだけのSNSアプリが対象となっている通信サービスは世界初となる。これにより日本旅行中もデータ量を気にすることなくSNSでの普段通りのコミュニケーションを楽しめる。また、専用のリチャージクーポンを利用することで、データ通信量をお気軽に追加することが可能です。
▼販売場所
ヨドバシカメラやビックカメラなどの主要量販店各店舗
イーコネクトジャパン
eConnect Japan 株式会社(イーコネクトジャパン)
設立 2012
訪日外国人向け通信機器の販売・レンタル、およびアプリケーションの提供。
訪日外国人向けに、独自のプリペイドSIMカードの販売、Pocket WiFiのレンタルを行っている。また、iOS、Androidの独自アプリを開発し、同社提供のSIMカードの管理はもちろん、日本旅行に役立つ便利な機能を提供しています。そこから得られるデータを収集することで訪日旅行客の動向を把握し、よりパーソナライズしたサービスの提供や今後の機能改善に役立てていきます。
世界100ヶ国以上で使えるデータ専用グローバルSIMカード “MightySIM” の販売でアウトバウンド事業も行っています。
訪日事外国人の満足度をあげるべく通信分野でも新たなビジネスが複数立ち上がっています。単体での参入はなかなか難しい分野ではありますが競争も激化しつつあり、今後のそれぞれの動向がより楽しみです。